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健康コラム

嫌われ者(ハエ蠅)を好きになる

H26年9月6日(土)Fmヨコハマ朝9時からの「フューチャースケープ」にて、
赤池さんが、ハエのことを話していて、
今までの価値観が大きく崩れたことに驚いた。

ハエって、いいやつだな~。なんて働き者なんだ。
人の嫌がることを喜んで進んでやってくれている。
本当に今まで御免。そしてありがとう!

話は宇宙開発から始まった。
40年前からロシアの火星への有人飛行計画において、
人糞の処理をめぐって、蠅くんにスポットライトが当てられた。

現在でも、ロシアは「マース計画」で2025年までに火星有人探査実現をミッションとしています。
その計画の中で、地球と火星 往復の約4年間の長期滞在のために、
宇宙船内の排泄物処理と宇宙飛行士の食糧供給への変換、
そして宇宙船内循環系確立を目指して研究開発された技術の一つが
特殊な「イエバエ」の幼虫による糞尿処理システム「ズーコンポスト」です。

「ズーコンポストシステム」
この特殊に改良されたイエバエによる家畜糞尿分解処理システムです。

トレイに入れられた糞尿に適量接種した「イエバエ」の卵が約8時間で幼虫になり、
この幼虫(ウジ)による分解が「ズーコンポストシステム」の柱となります。
このハエの幼虫の唾液は酵素を含み、強い殺菌効果があり、
分解された糞尿残渣は良質の有機肥料となります。
水分を含んだトレイの糞尿は3日後くらい経過するとしっとりした顆粒状になり、
5日後にはさらに乾燥した状態になります。
幼虫が分解活動し始めると、2日目後には糞尿の臭いも殆どなくなります。
トレイの幼虫環境の至適温度は室温25℃~30℃、湿度70%で切り返しの必要もなく、
幼虫の活躍だけで生産が可能です。
この方法によれば、たった6~7日で糞尿処理が終了します
一般的な堆肥化工程が3~4ヶ月を要することを考えれば大幅な期間短縮ができ、
また10分の1以下のスペースの施設で同等量の処理をすることになります。
5~6日目頃から幼虫はサナギになるため、トレイから外に這い出し、下の受け皿に落ち、
人手を要さずに幼虫と肥料が分離される仕組みとなっています。

「マゴットセラピー
ハエは私達にとって「コレラ・チフス・O-157」等の病原を運ぶ不利益な衛生害虫です。
しかし、科学の進歩はそればかりではなく益虫であることも明らかにし、
「ズーコンポスト」だけでなく各方面で注目されています。

◆私達の風邪や傷口化膿は、その原因の多くは微生物の感染で、
死に至ることも少なくありません。
ところが人間以外の多くの生き物は微生物に対する抗菌ペプチドを身につけていて
長い歴史を生き続けています。ハエの幼虫で抗菌ペプチドの研究がされており、
近い将来ハエ由来の画期的な医薬品の登場も間近です。

◆ハエの幼虫(ウジ)が病巣に有効であると気づいたのは、数世紀前の軍医達で、
戦場で負傷兵の切り傷にウジ治療が有効としていました。
現在臨床で使われている無菌ウジ治療法は1920年代から開始され、
今日では多くの医療施設で行われています。
わが国でも身体の組織が腐る壊疽をウジ(ヒロズキンバエ)を使い、
切らずに治すマゴットセラピーの研究が進んでいます。

「ズーコンポスト」にも国内において類似研究事例が多くあり、
今や信頼性の高い技術となりつつあります。
・1985年;日本大学農獣医学部の「牛糞の飼料的再利用に関する基礎的研究」
・1998年;社団法人農林水産技術情報協会の
 「昆虫による家畜排出物処理と飼料用昆虫の飼育」
・2002年;財団法人畜産環境整備機構
 「家畜化イエバエ幼虫による家畜排泄物処理の技術の開発」

以上のように私達の身近な生物との共生への取り組みの時代となりました。
もうハエも私達の仲間です。

ハエとのコラボでエコロジー循環型農業の創出=「ズーコンポストシステム」より抜粋しました。
http://www.bbb-japan.com/media/media_03.html

 

赤池 学(あかいけ・まなぶ)

ユニバーサルデザイン総合研究所所長、
科学技術ジャーナリスト

1958年東京都生まれ。1981年筑波大学生物学類卒業。

サイエンス・チャンネル(ユーチューブ)
http://www.youtube.com/watch?v=0iNhj8rqayM

ハエの話で関連して、
奇跡のリンゴの木村秋則さんのお話で、
アブラムシを食べてくれる益虫が、てんとう虫と言われているが、
実際に観察してみると、1日7~8匹しか食べてくれない。
それに比べ、ハエたちは、1日何十匹も食べてくれていたと言う話を思い出し、
今回と合わせて、蠅くん達がとても愛しく思えてきました。

「やれ打つな蠅が手を擦る足を擦る」 小林一茶

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