糖質制限ダイエットの真実
専門家が警告
大ブームの「食事は炭水化物抜き」が
一番危ない。 糖質制限ダイエットで「寝たきり」が続出中! (2014年02月17日(月) 週刊現代より抜粋)
「即効性がある」とブームが続く糖質制限ダイエット。
だが今、その安全性に警鐘が鳴らされ始めた。
その時、体の中で何が起こるのか。手遅れになる前に知っておきたい、
超人気ダイエットの真実。
もともとは糖尿病や重度の肥満患者に対する食事療法として考案されたものだが、
いまや「手軽に痩せられるダイエット法」として、老若男女を問わず人気を集めている。
人気の秘密は、糖質さえ制限していれば、あとは肉でもアルコールでも摂取OKという
取り組みやすさと、目に見えて現れる効果にある。
炭水化物の糖分は体内で中性脂肪に変わり、人間のエネルギー源となる。
炭水化物を絶つことで中性脂肪を減らして痩せる、いたって単純なメカニズムのダイエット法だ。
こう語るのは渡辺吉孝さん(70歳・仮名)だ。
取り組んだのは、今話題の「糖質制限ダイエット」。
「初めは調子が良かったんです。1ヵ月でお腹回りがスッキリしてきて、体重が5kg減りました。
効果覿面だったことが嬉しくて、それから1年半、みっちり糖質制限をした結果、
体重を85kgから76kgまで落とすことができました。
当然、体重が落ちれば身のこなしも軽くなるだろうと思っていました。
ところが、次第に筋力が落ち、階段の上り下りが以前にまして苦しくなってしまったんです。
そんなある日、庭の手入れをしていてトンと尻もちをついたら、それだけで尾てい骨が折れた。
入院して検査をしたら、『骨密度が65%しかない。骨粗鬆症です。
尾てい骨の圧迫骨折もそれが原因です』と診断されました」
荻原貞雄さん(69歳・仮名)は、現在、半身不随で療養型病院に入院している。
ところが’08年、ブームに乗って糖質制限ダイエットを始めたのです。荻原さんは半年で6kgも痩せ、かなり細い体つきになっていました。本人もその変化に非常に満足そうでした」
だが、ダイエット開始から4年目の夏、荻原さんは突然病魔に倒れた。脳卒中だった。
「頸動脈の血管エコー検査をしたところ、ひどい高脂血症が判明。血管の壁が1・8㎜の厚さになっている部分もあった。重度の動脈硬化が引き起こした脳卒中だったのです」
荻原さんの身に、一体何が起こったのか。かかりつけ医が続ける。
「一般的に、糖質制限をするとカロリーを補うために脂質やタンパク質を大量に摂るようになります。すると、血管に悪玉コレステロールが溜まっていく。その結果、血管が傷んだり老化が進んだりして、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性がどんどん高まっていくんです。
特に肉類が大好物だった荻原さんにとって、炭水化物さえ抜けば、あとは何を飲み食いしてもいいという謳い文句は非常に魅力的だったのでしょう。トンカツや焼き肉、ステーキなど、がっつりした肉料理ばかり食べていたため、コレステロールが溜まりに溜まってしまったのです。
病院に担ぎ込まれた時点で半身は完全にマヒ。まさか気軽に始めたダイエットで半身マヒになるとは、思いもよらなかったでしょう。今となっては話すことも不自由で、後遺症を克服するメドは立っていません」
寝たきりどころか、最悪の場合、死に至ると警鐘を鳴らすのは、自身が糖質制限ダイエットを実践し、その結果危険な状態に陥った経験を持つ、Rサイエンスクリニック広尾院長の日比野佐和子医師(44歳)だ。
「ご飯からお菓子まで、炭水化物は一切とらず、その代わり好きなもの を好きなだけ食べているうちに、瞬く間に15kg痩せました。『効果が目に見えて出る。だから、嬉しくてどんどん続けてしまう』—実はこれが糖質制限の怖 いところなのですが、当時は私も、これほど楽なダイエットはないと思っていました。
しかし、続けているうちに常に体がしんどく、眠気が抜けない状態が続くようになりま した。
そして36歳のある朝、目覚めると右半身がピクリとも動かなかったのです。
救急車を呼ぼうと立ち上がろうとしても、右手と右足の感覚が一切ない。
これは大変なことになってしまったと覚悟しました。
大事なのは、ダイエットは何のためにするのか、ということ。
見た目だけが少し良くなったとしても、肝心の健康を損なったのでは何の意味もありません。
是非このことを念頭に置き、自分の身を守っていただきたいと思います」(佐藤氏)
特に高齢世代は、ブームだからといって「糖質制限」に飛びつくと、
寝たきりのリスクが劇的に高まることを忘れてはならないのです。